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2019年04月10日

サラエボの名誉市民となったブルース・ディッキンソンと、映画「サラエボの叫び」について

サラエボ名誉市民称号受賞

ブルース・ディッキンソン、ついにサラエボの名誉市民となる!

1994年。アイアンメイデンを脱退しソロ活動をしていたブルースは、彼の新たなバンド(後のSKUNKWORKS)のメンバーと共に紛争中のサラエボに入り、ボスニア文化センターで無料のコンサートを開催しました。
当時の様子をサラエボの市民やブルース達が振り返るドキュメンタリー映画「サラエボの叫び」は、日本でも昨年6月に公開され、その鮮烈な記憶は未だに心を揺さぶります。

そんな彼らの行動が評価され、昨年10月末、サラエボの市議会により、ブルースをサラエボの名誉市民とする事を全会一致で可決。
今月4月6日には、サラエボの市役所にて、ブルースへ名誉市民の称号を授与したとの事です。


◆アイアン・メイデンのブルース・ディッキンソンがサラエボ名誉市民に(amass)

◆Bruce Dickinson postao počasni građanin Sarajeva: Nagradu dijelim s ljudima koji su preživjeli opsadu(Klix.ba)

◆Iron Maiden lead singer Bruce Dickinson made honorary citizen of Bosnia’s capital(USA TODAY)

アイアン・メイデン(Iron Maiden)のブルース・ディッキンソン(Bruce Dickinson)がサラエボ名誉市民に。4月6日にサラエボ市当局から名誉市民の称号が贈られています。

ブルースは、アイアン・メイデンを一旦脱退した後の1994年。当時戦時下だったボスニア・ヘルツェゴビナ連邦の首都サラエボにて、自らのバンド・スカンクワークスを引き連れてライヴを敢行。その模様はドキュメンタリー映画『ブルース・ディッキンソン(アイアン・メイデン) サラエボの叫び』(原題:Scream For Me Sarajevo)として公開されています。

今回、94年にコンサートのためにサラエボを訪れたブルースの行動に対して、サラエボ市議会は名誉市民称号の授与を全会一致で可決、同市の市役所で表彰が行われています。

ブルースは式典で「とても名誉なことですが、この賞はここにいるサラエボの人々にも等しく与えられるものだと思います」と語っています。
(引用元:amass)

ブルースにサラエボ名誉市民賞を授与したAbdulah Skaka市長は
「1994年にサラエボにディッキンソン氏が到着したことは、私たちが生き残ること、サラエボ市が生き残ること、ボスニア・ヘルツェゴビナが生き残ることを私たちに認識させた瞬間の1つでした」
と語りました。
(翻訳元:USA TODAY)





サラエボ名誉市民称号授与

って、ヒゲ!!!!!



サラエボ名誉市民称号受賞

ヒゲ!!!!!



サラエボ名誉市民称号受賞

ヒゲーーーー!!!!



サラエボ名誉市民称号受賞

どちらさまですか…!!



サラエボ名誉市民称号受賞

どこの俳優さんかな…!?!?!!

ブルースがサラエボの名誉市民となるニュース自体は昨年10月の発表で知っていたので、むしろこの最新ブルースのヒゲ姿にめちゃくちゃ驚いて3度見してしまいました。
60歳になってから再び髪を伸ばし始めたブルースですが、髪だけではなくヒゲまで伸ばしているとは!
「一瞬誰だかわからなかった」なんて声もかなり聞きましたが、やはり多くのファンが驚いた模様。
なんだか、アカデミー賞何度も受賞しているベテラン俳優のような風格を感じます。



サラエボ名誉市民称号受賞

しかしブルース、本当にかっこいい年の取り方していますよね。
私は個人的には「いつまでも若く見えるおじさん」とかよりもこういう積み重ねてきた「層」を感じさせる渋い歳の重ね方が好きですね。
そしてどんなビジュアルでも、内面から滲み出る理知的な雰囲気や高潔さのようなものが感じられて、そこがブルースの魅力の一つなのだなぁと再認識。


<追記>
CBC2019

とかなんとか書いたところで、現地時間4月9日朝(日本時間4月10日0時)、デンバーで行われたクラフトビールの協議会「クラフト・ブルワーズ・カンファレンス・アンド・ブリュー・エキスポ・アメリカ」での基調演説では、しっかりヒゲを剃ってきた模様を確認致しました。

なんか、ブルースの気まぐれに翻弄されている感があります(笑)

それもまた幸せというもの。とりあえずブルースは、髪を伸ばそうが切ろうが、ヒゲを生やそうが剃ろうが、魂そのものがかっこいいのでどんな姿でも好きです…

==============

サラエボの叫び

さて、この素晴らしく名誉なニュースにヒゲだけの言及で終わるのも惜しいので、長いことずっと書きそびれていた、
映画「サラエボの叫び」の事も書いておこうと思います。

映画を見た直後は感情が先走って溢れてしまい、うまく言葉がまとまらなかったんですけど…
ようやく少し冷静に書けるようになったかも。
せっかくのこの誇らしいニュースが報じられた機会に、あの映画の感想も記しておこうと思います。
(映画未見で、まっさらな状態で見たいという方は、以下内容に触れる文章となっておりますのでご注意下さい)



サラエボの叫び

ブルース・ディッキンソンは「行動の人」です。
IRON MAIDENという世界的ヘヴィメタルバンドのボーカルでありながら、国際線のパイロットであり、航空関連会社の創設者・会長かつ、ビール醸造家で、作家かつフェンシングの名手であり、ラジオDJも長年務め、舌がんを乗り越えたサバイバーです。

1人で何人分もの人生を歩むブルースにはいつだって驚かされます。
その驚異的なアクティブさの原動力の一つとなっているのが、
彼が持っている「What Does this button do?(このボタンを押すとどうなるんだ?)」という好奇心と、そこから一足飛びに「行動すること」に繋げるという力です。

そしてそんな彼の行動力が、この『紛争中のサラエボでのライブ』という奇跡的な歴史を生み出しました。
紛争地帯でライブを行うなんて、正気の沙汰じゃない。
安全の保証はどこにもなく、自分らが狙撃されたり、会場を迫撃砲で狙われる可能性が大いにある中での、まさに命がけのツアーです。
ある意味無謀とも言える賭けのようなものだったのかもしれません。
しかし、このたった一夜のステージが、サラエボの人々の心に光を灯しました。
映画「サラエボの叫び」を見ると、ブルース達の行動に、当時のサラエボの人たちがいかに勇気づけられたのかを、痛切に感じる事ができます。

ライヴは壮大で激しく、恐らく観客にとっても俺達にとっても
その時点で世界最大のライヴだっただろう。
世界がそのことを知らないことも、どうでもよかったんだ。
ーーーー「ブルース・ディッキンソン自伝(What Does This Button Do?)」より


サラエボの叫び

私はこのドキュメンタリー映画を見るまで、ブルースがそんなライブを行っていたなんて事自体を知りませんでした。
だって、彼はこの件を決して武勇伝のように語ったりはしないから。
だからこそ、この映画を見た時の衝撃たるや…。
映画館で、ブルース・ディッキンソンソロ時代カバーバンドAIR-RAID SIRENのメンバーと見たのですが、終わった直後、メンバー全員押し黙る程のショックを受けてしまいました。
激しく感情を揺さぶられたものの、受け取ったものが大きすぎて、うまく言葉にするのが難しかったのをよく覚えています。



サラエボの叫び

この壮絶なツアーのきっかけは、ブルース自らが企画したわけではなく、サラエボの軍からのオファーでした。
ブルース自身も「自分が思っているより安全なのかも」と軽い気持ちで引き受けたと語っています。
かっこつけず正直にそう言うところがブルースらしくて好きです(笑)
逆に言うと「俺達紛争地帯でライブやってやるぜ!」という蛮勇から始まった話ではない事がわかります。



サラエボの叫び

しかし蓋を開けてみれば迎えのヘリなどなく、国連とは無関係とされ、安全の保証などどこにも無い状態でした。
その日に銃撃戦があった場所が無数にチェックされた地図を見せられ、町に入る手段すらない状況下では普通は諦めて帰国するものですが、ここで帰らないのがブルース・ディッキンソン。
「OK、じゃあここから先は自力でいくよ」
と現地の人とやりとりを始め、町に入る方法を模索し始めるのです。
そして、物資を供給するための秘密のトンネルを通る算段をつけ、いつ狙撃されるか分からないトラックの荷台に隠れるようにして乗り込んだのでした。
まさにこの『行動』が自分の価値観、死生観を一変するような転機に、そして多くの人の心を動かすステージに繋がるんですね。

※映画では語られていないけど、あくまでも「1人でも帰りたいメンバーがいるなら全員で帰るべきだ」という話し合いをして、全員が誰も帰ると言わなかった上での決断であることも補足しておきます。

サラエボの叫び

「これはサラエボの人達によるサラエボの為の映画だ」

ブルースの言葉どおり、この作品はメタルアーティストの音楽ドキュメンタリーではありません。
これは、戦火の町で苦しみながら生きる人々と、危険を顧みず、そんな彼らの心に寄り添おうとした男たちの記録映画です。

前半では特に、サラエボの人達がいかにして紛争に巻き込まれていったのかが丁寧に描かれています。
普通に暮らしていた筈の人々の生活が、ある時から一変していく恐ろしさ。
市民にとっては「よし、これから戦争が始まるぞ」なんて覚悟や意識はなく、そこにあったのは”いつのまにか自分達が前線で暮らしている事に気づく”というゾッとするような現実でした。



Sarajevo-February-1994-resize

サラエボは、かつてはオリンピックも開催された華やかな都市だったのに、見る影もなくなります。
スポーツセンターは放火され、窓にはガムテープが張り巡らされ、建物は破壊され、毎日無数の銃撃戦が繰り広げられる。
画面に映し出されるその現実は説明不要なほどにあまりに凄惨で…
破壊されていく町と、巻き込まれる人々の映像には言葉を失うしかありませんでした。



サラエボの叫び

しかし一方、そんな地獄のような状況でも、サラエボの人々は希望を捨てませんでした。
地下に隠れてバンド演奏をしたり、地元のミュージシャンと組んでHelpソングを作って呼びかけるなど、音楽の力を信じていました。
それは、私たちにとっての「音楽」とはまるで違う意味を持っていると感じます。
命がけで、正気を保つギリギリの淵で立ち続けるための命綱のような…。
市民たちが「ライブや音楽を楽しんでいる間だけは”普通”でいられた」と語るように、
彼らにとって音楽は、自分達が普通の人間である事を思い出させ、戦争を忘れさせてくれる心の支えの一つだったんだと痛感しました。

俺は前座を務めてくれる地元のバンド達と一緒に腰を下ろした。
電気は来ておらず、ライヴ用の発電機は燃料節約のためライヴの時だけスイッチが入れられることになっていた。
俺の隣に座っていたギタリストは英語が少し話せた。
「電気が来ていないのに、どうやってリハーサルをしているんだ?」
と俺は尋ねた。
彼は、”なんて馬鹿馬鹿しい質問だ、それは?”と言いたげに俺に鋭い一瞥をくれた。
「俺達はーー」誇らしげに彼は口を開いた。
「魂でリハーサルをするんだ」
自分の身の程を思い知らされた俺は、頷いた。
「君なら確かにそうするだろう」。
俺はそうつぶやいた。
ーーーー「ブルース・ディッキンソン自伝(What Does This Button Do?)」より


サラエボの叫び

だからこそ、この危険な地で行われたライブには、彼らにとって計り知れない大きな意味があったのです。
会場をスナイパーに狙われたり爆撃されないよう、ブルースがライブを行うという事は大々的に公表されず秘密裏に進められました。
にも関わらず、人づてに噂は広まり、当日会場には大勢のサラエボの人々が駆けつけました。

俺にはすぐにわかった。
ホールはぎゅうぎゅう詰めで、人々の熱気で沸き立つようになっている。
これは戦場じゃない。
これは自由だ。
これがロックンロールなんだーーー
喜びを思い出す時だ。
ーーーー「ブルース・ディッキンソン自伝(What Does This Button Do?)」より


screamformesarajevo-pic2

困難を乗り越え、命の危機に晒されながら成し遂げたコンサート。
ブルースがサラエボのオーディエンスを前にした時に
「ギブ&テイク」ではなく、そこには「ギブ」だけ、ただ「与えたい」とだけ思ったといいます。
ブルースは具体的には言わなかったけど、それは未来への希望なんて陳腐なものではない気がします。
もっと原始的な、音楽の持つ、感情を揺さぶる力。
「今生きているんだ」と感じる力そのものだったのではないかと私は思います。
それに呼応するような、サラエボの人達の生命力に溢れたエネルギー。
それが昇華されるライブシーンは感動なんて言葉では言い表せないほど胸に響くものがありました。
彼らが、眼の前で力強く歌うロックスターにいかに心を救われたか…
サラエボの人々の感想が全てを物語っていました。


サラエボの叫び

サラエボの叫び

サラエボの叫び

改めて、彼らにとってはブルースは永遠の英雄なのだなと感じます。
今回の名誉市民の件に関しても、サラエボ市議会は全会一致で可決した事からもよくわかります。
サラエボの人々とブルースとの精神的な繋がりを感じる、本当に喜ばしいニュースでした。



サラエボの叫び

「リスクの無い人生なんて死んでいるのと同じだ。
死人にリスクはないからね。
行動するんだ。まず人を感動させてみるんだ
そうすれば状況は変わる」


戦地でのライブで身近に死を感じ、そして今度は癌という自分自身の病気と闘い死を見つめ、乗り越えたブルースの言葉は一つ一つが重く説得力があります。

ブルースほどの大胆な行動は出来ないけど、”思い切って踏み出す勇気”は大事にしたいと感じました。
何かを成し遂げたい時には、出来ない理由を考えるよりも、まずは行動する事。
それが後の大きな達成や感動に繋がる第一歩となる…そんな事もブルースから教わった気がします。

そして、私達が今普通に暮らし、当たり前のように音楽を楽しみ、ライブに行けるというこの日常がどれほど尊いものなのか。改めて気付かされ、その意味を考えさせてくれる映画です。
メイデン、メタルファンのみならず、もっと多くの人に知ってほしいと心から願います。














映画『サラエボの叫び』予告編


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